太陽光発電システムやEVなど、地球環境に配慮した製品の需要が高まっており、一般家庭においても導入数が増えています。

これらを導入するにあたって、よりエネルギー効率を高めるために有効な「トライブリッド蓄電池」という製品があります。

本記事では、トライブリッド蓄電池とは何かを紹介するとともに、導入メリットや費用の相場、利用できる補助金制度なども含めて詳しく解説します。

トライブリッド蓄電池システムとはなにか

トライブリッド蓄電池とは、一言でいえば「EV（電気自動車）」、「家庭用蓄電池」、「太陽光発電システム」の3つをコントロールしながら利用するための蓄電システムです。

トライブリッドを構成するEV・家庭用蓄電池・太陽光発電システムをそれぞれ連携するためには、トライブリッド用のパワーコンディショナーや専用の蓄電池、EVへの給電用スタンドなどを用意するため、特定の機器類の指すのではなく、これらを総称したものといえるのです。

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これまでの蓄電池との違い

蓄電池の製品には、トライブリッド蓄電池以外にもさまざまな種類があります。

従来型の製品と比較したとき、トライブリッド蓄電池はどのような違いがあるのか詳しく解説しましょう。

単機能蓄電池との違い

単機能蓄電池とは、太陽光発電システムと独立したタイプの蓄電池です。

それぞれが独立しているということは、太陽光発電システムと蓄電池にパワーコンディショナーを設置する必要があり、両者が連携する過程で電気の変換ロスも大きくなります。

一方で、トライブリッド蓄電池に比べて単機能蓄電池は製品の種類が豊富であり、さまざまな選択肢から選べるというメリットもあります。

ハイブリッド蓄電池との違い

ハイブリッド蓄電池とは、家庭用蓄電池と太陽光発電システムの両方に対応した蓄電池です。

トライブリッド蓄電池との違いは、EVへの充電には対応していないことが挙げられます。

これから太陽光発電システムと蓄電池を同時に導入しようと考えている場合に最適で、単機能蓄電池の弱点である電気の変換ロスを最小限に抑えられるメリットがあります。

ポータブル蓄電池との違い

ポータブル蓄電池とはその名の通り、持ち運びが容易なポータブル型の蓄電池です。

単機能型やハイブリッド型、トライブリッド型の蓄電池に比べると出力が限られ、使用できない家電製品もあります。

一方で、ほかの蓄電池に比べると安価で設置工事なども不要なため、低コストで手軽に導入できる強みもあります。

トライブリッド蓄電池システムのメリット

トライブリッド蓄電システムは、ほかの蓄電池に比べるとさまざまなメリットがあるにも関わらず、蓄電池やパワコン単体で比較すると、ハイブリッド蓄電池と同等レベルの価格で購入できるのも大きな魅力です。

EVの維持費を抑えられる

EVの充電スポットは徐々に増えていますが、決して数は多くないことから自宅に充電設備を設けるユーザーがほとんどです。

少しでも維持コストを節約するために、太陽光発電の電力をEVの充電に活用したいと考える方も多いでしょう。

しかし、太陽光発電システムだけでは発電した電力を溜めておくことができず、その場で消費しなければなりません。

トライブリッド蓄電池を導入すれば、たとえば日中の時間帯に発電した電力を、夜間にEVへ供給するといった使い方もできます。

電気の変換ロスが少ない

上記でも紹介しましたが、トライブリッド蓄電池は電力の変換ロスが少なく、発電した電力を効率よく活用できるメリットがあります。

太陽光発電システムとEVを連携するために、単機能蓄電池を組み合わせることもひとつの方法ではありますが、変換ロスが大きくなると太陽光発電だけで消費量を賄いきれず、電力会社からの供給に頼らなければならなくなる可能性もあるでしょう。

トライブリッド蓄電池システムを導入すれば、そのような供給量不足の不安も解消できます。

大容量の蓄電が可能

少しでも費用を抑えつつ、万が一に備えて電源を確保しておくためにはポータブル型の蓄電池を活用するのもひとつの方法ですが、ポータブル型の場合は蓄電可能な容量に限りがあり、エアコンや電子レンジ、ドライヤー、大型テレビなどの家電製品は使用できないこともあります。

トライブリッド蓄電池を活用すれば、これらの家電製品も問題なく動作できるほか、EVに充電された電力も家庭用として供給できるため、合わせるとさらに大容量の電力を確保でき、災害時に停電が長期化した場合でも安心です。

（電気自動車の電池容量が70kWhの場合、約146時間 電力が使用可能 ※ニチコン調べ）

パワーコンディショナーの導入費用や交換費用を抑えられる

太陽光発電と蓄電池を別々に導入する場合、それぞれに対応したパワーコンディショナーを購入・設置しなければなりません。

しかし、トライブリッド蓄電池の場合、複数のパワーコンディショナーをひとつにまとめた状態で運用できるため、導入時にかかる初期費用や交換時にかかる費用を抑えられ、コスト面でのメリットがあります。

トライブリッド蓄電池システム導入に補助金は使える？

現在、政府や自治体では、太陽光発電システムにあわせて蓄電池を導入した事業者や一般家庭に対してさまざまな補助金を支給しています。

トライブリッド蓄電池を導入することで、どのような補助金制度が利用できるのか一例を紹介しましょう。

ZEH支援事業

ZEH支援事業は、ZEH（ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス）に対応した新築住宅を購入する際に一戸あたり55万円（上限）の補助金が支給される制度です。

トライブリッド蓄電池や高断熱窓、高効率給湯システムなどを導入する場合に対象となり、1kWhあたり2万円、補助対象経費の3分の1または20万円の低い額が補助金に加算されます。

既築断熱改修補助金

既築断熱改修補助金は、一般住宅における断熱リフォームを支援するための補助金制度です。

<補助金額は補助対象となるリフォーム費用の3分の1で、戸建住宅の場合は一戸あたり120万円、集合住宅の場合は15万円が上限となります。

なお、補助対象となる製品はトライブリッド蓄電池のほか、断熱材や断熱窓、蓄熱設備、熱交換型換気設備などがあります。

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◆住宅用太陽光発電導入に使える補助金制度の申請条件や申請方法

トライブリッド蓄電池システム導入にかかる費用

トライブリッド蓄電池の導入にあたって、多くの方が気になるのが費用の問題ではないでしょうか。

実際に導入する場合、蓄電池そのもの以外にも基本ユニットやEVを充電するためのスタンドなども設置しなければならず、トータルでの費用相場としては300万円程度となっています。

なお、これには太陽光発電システムの費用は含まれておらず、別途費用がかかります。

また、導入する蓄電池の容量によっても本体価格は異なり、300万円以上のコストがかかる場合もあるため、まずは販売店へ個別に見積もりを依頼し確認してみましょう。

トライブリッド蓄電池システム対応可能なEV（電気自動車）とは

トライブリッド蓄電池システムが対応する自動車にはどのようなものがあるのでしょうか。

まず、大前提となるのが充電スタンドから充電できるタイプの自動車であるということです。

エコカーとして広く普及しているハイブリッド車は充電スタンドからの充電ができないため、トライブリッド蓄電池システムには対応不可ということになります。

上記の条件を満たしたEVの一例としては、以下の車種が挙げられます。

• プリウスPHV（トヨタ）/li>
• リーフ（日産）
• サクラ（日産）
• アリア（日産）
• Honda e（ホンダ）
• MX-30 EV（マツダ）
• アウトランダーPHEV（三菱）

なお、トライブリッド蓄電池システムによっては、全メーカー・全車種のEVに対応しているとは限らず、上記のなかでも動作確認ができていないものもあるため注意が必要です。

どんな人にトライブリッド蓄電池がオススメ？

トライブリッド蓄電池は、太陽光発電システムだけでなくEVにも対応していることが大きなポイントであることから、これからEVと太陽光発電システムの導入を検討している方にとってはメリットの大きい選択肢といえるでしょう。

一方、すでに太陽光発電システムを導入しており、これから蓄電池システムを追加したいと考えている方であっても、トライブリッド蓄電池やEV用充電スタンドは後から設置することも可能です。

既存で単機能蓄電池を導入している場合でも、途中からトライブリッド蓄電池システムへ入れ替えることもできるため、ライフステージに合わせて追加導入や入れ替えができるのも大きなメリットといえます。

◆【設置に迷っている方必見！】新築住宅に太陽光発電はつけるべき？今後の義務化はいつ？

まとめ

太陽光発電システムと家庭用蓄電池、そしてEVの3つをコントロールし、エネルギー効率を最適化できるトライブリッド蓄電池システム。

自宅の屋根や空き地に太陽光発電システムを設置し、自動車はEVを愛用している方にとっては最適な選択肢といえます。

これから新築住宅を購入しようと検討している方はもちろんですが、リフォームや自動車の購入を検討している方にとっても、トライブリッド蓄電池システムの導入を考えてみる価値は大いにあるはずです。

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